活字中毒:平成関東大震災

これ、一度読んでおいた方がいいな、と思います。
福井晴敏さんの小説なんですが、それにしては解説まで入れて180ページと薄く、当然値段も文庫版で\420と安いので、買いやすいと思うし。
高級デスクマットの営業マン「西谷久太郎(にしたにひさたろう〜さいやくたろう〜災厄太郎)」は、打ち合わせに出かけた東京都庁で大地震に遭います。エレベータに閉じ込められた彼は、すごく冷静で災害に対する知識も豊富な「甲斐節男(かいせつお〜解説男〜おせっかい)」と出会います。
仕事一途な彼は、まず、次の予定である得意先との歌舞伎町での打ち合わせに行こうとし、次は会社、自宅(木造家屋の多い下町、京島)へ帰ろうと、災害による混乱の中へ飛び出ていきます。
当然、電車も不通、途中、コンビニ泥棒に遭遇したり、崩れた家の下に閉じ込められたおばあさんを救出したり、避難所で家族と遭遇したり、火災にあったり、新築の家が余震で崩れ、ついでに骨折したりします。その傍らには、甲斐節男が冷静な声で解説したり助言したりします。最後に、かすかな声に気付き、まわりの声を無視してがれきを片付け始め、その姿にまず家族が、そして、周りの人達も協力して救助に向かいます。
甲斐節男が誰だったかは最後のおたのしみとして、物語の一章毎に、解説のページがあり、平易に、日本の現状とか、身の処し方などを教えてくれます。
うん、自分を振り返ってみると、名古屋の事務所からなら災害マップなんて無くても複数のルートで家まで歩いて帰れるし。だけど出張が多いのでそんなとき遭遇したらと思うと考えてしまいますね。
その意味でもこの本は良かった。お堅い解説本よりはわかりやすいし。