活字中毒:靖国への帰還

靖国への帰還 (講談社文庫)

靖国への帰還 (講談社文庫)

著者は、浅見シリーズの内田康夫さん。
物語は、第二次大戦末期、複座の戦闘機「月光」でB29と戦っていた主人公がタイムスリップして21世紀の厚木基地に到着したところから始まる。戦争時の戦友との合言葉は「靖国で会おう」。これに戦争時の女子学生、21世紀の彼女、その甥の娘のロマンスが絡む。
主人公と同名の実在の方との関係で書かれたという本書は、特に「靖国神社」と日本人の関係にフォーカスした内容になっている。靖国至上主義でもなく、絶対反対でもなく両論併記になっているけど、やはり若干「靖国」より。
で、狙いがそちらにあるので、読み物としてのクオリティは低い。あとがきで「エンタテイメントとして読んでほしい」とあるが、そこまでのレベルに達していない。登場人物たちの動きもなんとなくぎこちなく不自然。結末も取ってつけたようなもので、不満も残る。「靖国」テーマなので、出てくる女性は基本的に昔基準で描かれているし。
正直いって外した。