活字中毒:天体の回転について

天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)

天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)

同名の書にはコペルニクス著のものがありますが、それは岩波文庫。正直に言います。この本は表紙で買いました。
SFの短篇集です。

  1. 最初が表題作、技術を嫌う人々の中に生まれ、技術に興味を持った少年は「妖怪の森」に冒険に出る。どうも、「妖怪の森」は都市らしいが、都市の人々は彼にはぼんやりした存在としか知覚できない。その都市で、少年は軌道エレベータに乗る。表紙の女の子は、軌道エレベータを使ったツアーの案内人であるホログラムキャラクター。彼女の案内で地球から月、月から外宇宙へと誘われる少年。少年の思いは当然ホログラムの女の子には届かないのに。物語は外宇宙に向かう軌道エレベータに乗るところで終わる。その先がどうなるのかは読者が想像するしかなさそう。
  2. 灰色の車輪:人間より高度になってしまったロボットにロボット三原則は守れるのか?を題材にした小編
  3. あの日:地球で暮らしたことのない小説家の卵。学校の課題で地球上を舞台にした小説を書くが、重力や摩擦力を具体的に知らないため、先生に何度も書きなおしをさせられる。でもそれは実は、、、
  4. 成功体験者:ま、中身はともかく。カマキリがモチーフになっていることはすぐわかりました。
  5. 銀の舟:赤い星の人面岩に見せられた少女は、努力の末、宇宙飛行士になり、赤い星に降り立つ。人面岩の秘密とは?
  6. 三○○万:恒星間航行をして次々に星を征服している種族が地球に現れた。彼らの征服方法はなぜか素手での戦いであった。なんとなく古代ローマを彷彿とさせます。
  7. 盗まれた昨日:某国のわけのわからない兵器の実験で、人々は長期記憶ができなくなってしまい、長期記憶用のメモリカードが欠かせなくなってしまった。それを逆手にとった犯罪者が、、、
  8. 時空争奪:昔、利根川東京湾に注いでいた。人はそれを銚子に流れるように変えてしまった。そうすると今までの下流はどうなんの?ということを、時の流れに当てはめたらどうなるのかという作品。ちょっとこんがらがってしまいそう。

あとの作品になるほど、ちょっと重くなります。そういえばこの作者の「海を見る人」もちょっと重い感じだった。