活字中毒:ハッピーリタイアメント

ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)

ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)

著者自身の経験が元になった作品だそうです。
(事項になった借金を返したこと)

舞台は、中小企業に融資保証をする団体の資料課。
そこは事項になった案件が塩漬けになっており、公務員の天下り場所になっていた。
さらに一人の元官僚に牛耳られているところでもあった。

主人公は、意に沿わずここに送り込まれた元官僚の関係者と、元官僚と懇意にある元幕僚から送り込まれた自衛官。そして、元官僚の愛人をやらされている元銀行員の秘書、マッカーサー司令官の鶴の一声で終身雇用が約束されている老女。

彼らは、天下り先にどっぷり使っている他の元官僚たちとは違った。塩漬け案件を一軒ずつ洗い直し始めたのだ、

融資保証を受けて返済できなかった人々の中には、最初からそれが目的の人もいた。
ただ、一部の人は返したくても返せない状況から必死に努力して這い上がった。そして、心のなかには少しの呵責を抱いていた。
そんな人達には昔の借金などはした金なのだが、返すタイミングや返し方を知らずに悩んでいた人もいる。

著者と思しき小説家も出てきます。

彼らはそんな人達を訪ねて、借金の処理(普通は、終了処理、たまには返済)を続けた。

そんなお金が数億円になった時、元官僚にバレる(ただし一千万くらいだと思われていた)。
彼らはどうする?

エンタテイメント性に飛富んだ良い作品です。
こんなことがまかり通るような官僚組織をなくすには、国民による観測と、国民のためになることをすると官僚にも良いことがあるという環境づくりが必要ともあとがきになります。