活字中毒:D列車で行こう

D列車でいこう (徳間文庫)

D列車でいこう (徳間文庫)

題名は名曲「Take the A Train」のオマージュですね。
主人公は、次の三人

  • 銀行の支店長を退職した男、河原崎。大学の工学部出身という異色ゆえ、技術には思い入れがある。 貸し渋り貸しはがしなど銀行の短期的な収益策に走らず、技術を持った中小企業を育成し業績を上げた、が、主流派にはなれなかった。私生活でもバツイチ独身で世渡りはうまくなさそう。
  • 男の部下の女性、深田。総合職で採用されたが、男性社会の中、仕事に恵まれず、それを逆手にとりMBAをとってしまい、、、さらに扱いにくいと言われていたところを支店長に拾われた。ロックバンドのボーカルでもある。
  • 元国家公務員、田中。天下りを繰り返し退職金を手にしたが、おかしいと感じ退職、言うならば「あぶく銭」の使い道を探していた。撮り鉄。奥さんとは死別。

山花線は広島にある第3セクター。2年後の廃止が決まり、記念に貴重な電気機関車を走らせようとしていた。ここである不幸な事故が起きる。
偶然居合わせた河原崎と田中が知り合う。
原崎は本社に呼ばれ、債権回収会社への転属を言い渡される。河原崎が机に忘れた山花線の写真を見て、深田が興味を持つ。
結局、3人は意気投合し、山花線再建に向けた押しかけコンサルティング会社を興し、山花線本社に押しかける。
でも、町長兼社長は廃止は確定事項として取り合わない。
3人は駅長の影からの支援を受け、地元に腰を落ち着け、再建の実現に向け走り始めた。
山花線の経営合理化は極限まで進められていて、それでも40年間黒字になったことがない。あとは利用客を、しかもコンスタントに引き寄せるしかない。
振興策は、実際にいろいろなローカル線や第3セクターでやられていることが多い。(濡れ煎餅は無いけれど)
振興策を通して、地元の人々のやる気も引き出し、テレビ局などのメディアの注目も集めるが、社長の態度は頑ななまま。
そしてクライマックスのイベントに、、、
ちょっと厚めの本、解説含め445ページですが、一気に読めます。