活字中毒:丘の上の赤い屋根

丘の上の赤い屋根

丘の上の赤い屋根

⇑装丁もいい感じで好きです。
関東地区の地方都市をモデルにしたと思われるコミュニティFMを題材にした作品です。
地方都市はどうもつくば学園都市らしい。
主人公は、うれない役者の男性と、父親の家を相続してそこに移り住んだ元調理師の女性。

男は5ヶ月の約束で大沼辺市のコミュニティFMの平日朝番組のキャスターをつとめる。
やる気のなさそうな局長と、事務の女の子、他には素人のボランティア。
いきなり老婦人からの投書を委ねられてむくれる。

女は両親が離婚して、遠くなっていた父親の唯一の肉親として家と古い木造アパートを相続した。
と思ったら、うさんくさい市会議員から生前の口約束で土地家屋を市に寄付しろと言われる。
自分にできることは、と言うことでコミュニティFMのボランティアをはじめる。

話は、木造アパートの住人の話、コミュニティFMの人たちとの交流、タウン誌編集者の取材、突然現れた女性の異母弟とその恋人、木造アパートへの嫌がらせから放火事件へと進む。

話は、恋愛が始まるわけでもなく、2人の人生が少し交錯するだけなんだけど、2人の生き方にちょっとだけ、とても大きな影響を与えて終わります。
エピソードに若干消化不良気味のところもあるけど、さわやかな読後感です。

各章にBGM指定があります。聞いたことのあるスタンダードなナンバーが多い。
写真がカセットテープってのもレトロっぽくて良いな。