活字中毒

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

なかなかなSFです。
物理学も「そうなっていること」は指摘されているが「なぜそうなっているのか」は教えてくれない範囲がある。
数学で言うと”定義”みたいな所ですね。
今のところ、最小の粒子はこれみたいなところが出ていますが、本当にそうなんだろうか。
手塚治虫先生が、「火の鳥」で描いたように、どんどん小さく見ていくと素粒子の中が一つの宇宙になっていて、逆にどんどん大きくしていくとこの宇宙が一つの素粒子にすぎないのかもしれない。(尺度を10倍とか1/10にしていくPowered by Tenという動画があったと思いますがそれの最大と最小をつないだように)
この本はそこに切り込もうとしています。
大学の研究室で出た「宇宙の作り方」〜宇宙の成り立ちとは?できたモノなら作れないのか?〜からはじまった。
飛び級で入った16歳の天才少女と、自分の進路〜就職先〜も決まらず、卒論のテーマも決まらない大学生がそのテーマに挑む。
「宇宙は作れない」とする研究室の他の学生、監督する先生達、建設が難航している研究施設”むげん”、講義を聴講している老人、建設中の施設の下でかたくなに農業を続ける老女などがからみ、話は展開します。
最後で、彼ら、彼女らなりに一応の落ち着き先を見つけていくのだが。
簡単に答えの出ない問題だからここくらいの落としどころとも思いますが、「大脳皮質は励起されたぞ」というのが読後感です。

そうそう、このような問題につけ込んでくるのが一部の宗教団体ですね。
この本にもそのあたりの描写は出てきます。
彼ら/彼女らは、こういった問題につけ込んでくる。
本の中の一説ではないけど、方程式に入れるパラメータが間違っていてはまともな回答は出てこない。
実世界では参院選も近づいてきてて、何となくうるさいのだけど、変なもの投票する1票は持っていない。

表紙の可愛いイラストにだまされてはいけません。
軽い内容かと思ったら、ちょっと重たい内容でした。
(でも、だまされて良かったな)